今年のベスト・アルバムについて
こんばんは。ついに年の瀬ですね。めっとです。
毎年毎年年月の経過が早く感じる今日このごろですが、意外と振り返ってみると色々あるってのが人生です。今年のライブは土日2Daysのものを含めると30本以上あってたみたいです。自分が怖いよ。
そんなこんなで今年も沢山の音楽を聞きました。その中でもおすすめできる秀逸な一枚を沢山紹介していこうと思います。
- POP VIRUS/星野源
- 分離派の夏/小袋成彬
- RUN/tofubeats
- ノーフューチャーバカンス/上坂すみれ
- ホームタウン/ASIAN KUNG-FU GENERATION
- Eutophia/STUTS
- AINOU/中村佳穂
- おまけ
- おわりに
POP VIRUS/星野源
俺の負けだよ星野源。先行シングル"アイデア"の時点で「参った〜〜!!!」と思って後ほどアルバムを買うことは決めていたのですが、これほど素晴らしいものとは思っていなかった。星野源を舐めてた。ごめんなさい参りました。
何が素晴らしいって一曲目"Pop Virus"の1音目から今回のアルバムは本気だぜっていう気迫をピリピリと感じるところ。歌の歌い出し、ギターの入るタイミング、エッセンスとしてのシンセの入るタイミング、全て推敲を重ねて起こしあげられた譜面なんだろうなと思うくらいのツッコミどころのなさです。
星野源「音のな〜かで(優しいギターの音)」
— 2019 (@____metto) 2018年12月24日
僕「(特大オタククラップ)それ!!!!!」
星野源「笑いながら漂う(唐突なアクセントとしてのシンセ)」
僕「(頭を抱える)お前ノーベル音楽賞だよ!!!!日本に生まれて僕は幸せ!!!!!!!!」
みたいなテンションでずっと良さを語りたい
これは聞いて数日後の僕。
一曲としての完成度もさることながら、一枚としての完成度も高い今作。特にサピエンス→アイデアの流れは素晴らしいと思います。以前、「星野源のアイデアには世の中に常に生じている有名税に似た邪悪への反骨精神が見受けられる」という記述を見かけたのですが、別にそういった邪悪への反骨精神というよりも、既存の従順で着実で確実な価値観の崩壊、そしてそこからの新しい生き方の再生、という一連の流れの方が重視されている気がします。
本人のエッセイ「働く人」の文庫版まえがきにあるように、当人はアイデンティティの確立として働くことに執着していたのですが、そこからくも膜下出血、そして入院を経て、そこからの価値観の変化があることが見て取れると思います。
化物の一節に
化物の一節にも
奈落の底から
次の僕が這い上がるさ
とあるように、アイデアの一節にも
生きてただ生きていて
踏まれ潰れた花のように
にこやかに 中指を
というものがあります。近頃の歌詞における表現においては、何を批判するというよりも、彼自身への生命への信頼及び逆境における反抗精神という根源的な精神性の現れだと思います。アイデアの話をしすぎたな。
アイデアという曲、POP VIRUSから生まれてきた多様なMPCやシンセの使い方も含めた星野源の楽曲の旨みをフルにぶちこんだいわゆる星野源総集編であり、アルバム一曲を聞ききれるほど暇がない方にも是非聞いて頂きたい一曲になっています。周りの楽曲オタクが軒並み今年の10曲にカウントしてて笑いました。
その他にも、恋/星野源(と書いて約束された勝利の曲と読む)、サピエンス、肌等の粒ぞろいの素晴らしい曲が並んでおり、曲順も相当練られたものであることを感じさせられるものであることより、文句なしの今年の1枚に入るアルバムだと思いました。その中での肌が特に好きですね。端的にいうとエッチの曲なんですが、Aメロから始まる心細さや不安を感じさせるしっとりとしたムードから、サビの花開くような音の広がりに一気に持っていける彼の編曲能力はえげつないと思います。まさに、独りから誰かに触れた時の暖かさを表現した一曲。彼は最高です。
分離派の夏/小袋成彬
何回このアルバムに言及するんやねんお前は。
天才のアルバムです。リズムの刻み方、ビートの音の心地よさ、叙情的な歌詞、メロディラインの優秀さ。全てにおいて洗練という言葉が似合います。途中に挟まれる友人のモノローグも、肉薄な音に着目された、曲を引き立てる食前酒のような心地の良いトラックになっています。ライブに行きたい。福岡に来い。
RUN/tofubeats
文句なしの一枚。tofubeats兄貴、FANTASY CLUBでは本人のやりたいストイックなダンスミュージックをやっていた雰囲気が見えますが、今回はポップに戻ってきている模様。RIVER、RUN、ふめつのこころ等のリードトラックからもう素晴らしさは見え隠れしていた中、満を持しての登場。素晴らしい一枚です。
今回素晴らしい点として、MOONLIGHT、DEAD WAX等のリードではないトラック。アルバムという単位で見せるべく、リードトラックを使った細かな展開づくりが生きてます。そして最後にはふめつのこころ(SLOWDOWN)。ふめつのこころで始まりふめつのこころで終わる。そういうアルバムになっています。是非に。
ノーフューチャーバカンス/上坂すみれ
このアルバム、声優の単独アーティストアルバムってマジ???ってくらい囲い込んでいる人々が豪華です。ミリタリ、フィギュア等、マルチでディープな街である中野の女上坂にうってつけの一枚。MONACA広川の作るhello my kittyやAJURIKAの作る祈りの星空等、ちょっと作曲家の名前を知っているような人々ならピンとくる顔が大量に揃っています。
題のノーフューチャーバカンスというワードについて。上坂さんはインタビューで「平成が終わるってちょっとまずいことが起こるみたいでいいじゃないですか」みたいなことを言われていました。大事が起きようとしているのに僕らはただ流されるしかない、そういうニヒリズム的な部分に美しさを見いだした素晴らしい曲で締められるアルバムはやはり美しいです。
おすすめの一曲は「平成生まれ」。作詞は挑戦的な歌詞で有名(?)なアーバンギャルドの松永天馬。本人が歌詞を書きやすかったという通り、上坂すみれが平成終わりに平成生まれというタイトルの曲を歌うのはしっくり来ますね。
どんな時代でも 私の時代
そうでしょ 私の時代を生きてくの
この一節は本当に上坂すみれに似合うと思います。別におっかけやってるわけじゃないけど、本人の趣味や造詣の深さにちなんでもっと面白い象徴的なタレントになってほしいなぁと思うなど。
ホームタウン/ASIAN KUNG-FU GENERATION
音良し、曲良し、歌詞良しのアジカン新譜。僕は最高だと思います。王道ロックでも王道ポップでもなくてちょっと捻った王道という印象。レインボーフラッグのリズムの切り替わりが僕はすごい好きです。あとUCLAというHomecomingsとのトラックも良いです。叙情的なしっとりとしたところから一気に爆発するかのように叫ぶサビへ。そこでのカタルシスがこういうロックの良さなのかもしれませんね。
Eutophia/STUTS
まあ聞いておくれ。チルすぎてうんちもらすから。もう説明不要。チルすぎる。音がなんでこんなにいいの?聞いてくれ。心地よすぎてめっちゃ寝れる。
AINOU/中村佳穂
きっとね!を聞けばなぜ様々な人が絶賛するのかがわかる。最強。
「な〜んども、Ah」っていう拍のずらし方が気持ちよくて死んでしまう。リズムという概念の魔術師。めっちゃいい。聞いてください。
おまけ
Stage Bye Stage/New Generations
名曲。VRのために書き下ろされてくれてありがとう名曲くん。全体的にきらびやかな音作り、そして跳ねるような今どきの載せ方が本当にいいと思います。オタクには勿体無いぜ。
この曲、歌詞も秀逸ですね。「ライブのお別れの歌」なわけですが、このコンセプト自体がステージに立つこと目指して邁進していたNGsのストーリーと重なって、久々の3人での新しい景色を描いてくれています。スラップの「テーン!!」好き。
ふめつのこころ(パソコン音楽クラブ remix)/tofubeats
どうせ西野七瀬が歌うから原曲及び西野歌唱Verは聞くんだ。みんな、パ音remixを頼むから聞いてくれ。原曲はバリバリtofubeatsの作ったクラブで乗れる曲、という感じですがパ音のremixは凄く優しい。良い。是非聞いてほしい。
BLUEV(feat.ryohu)/AAAMYYY
AAAMYYYと書いてエイミーと呼びます。DAOKO自主企画イベントで対バンに出て知った人。いいぞ。
おわりに
全くの無計画に始めたら年明けてました。あけましておめでとうございます。
この中にないからベストアルバムじゃないってわけじゃなくて、純粋に僕の聞き込みが甘いだけな場合があるんでなくてもあんまり気にしないでくださいな。後半になるほど解説文が雑になっていってるのはそういうところもあります。純粋に多くの音楽を聞くのはかなり意識的にしないと行けないのでキツイっす。
とりあえずこれで終わりってことにしておきますが、また各々の曲について書きたくなったときは個別記事を書きます。(そもそも数百字でアルバムの隅々まで語り尽くすことができるはずがないのじゃ)乞うご期待。